進化した児童書

1980年代に世界を席巻した日本の品質管理のノウハウ(おもにTQC)をもとに、モトローラ社などアメリカ企業が編み出した品質マネジメント手法がシックスシグマです。 シックスシグマというのは、品質の基準として欠陥の発生率が100万回のうちわずか3.4回という数値を表しており、欠陥を出さない組織作りを実現する実践的な経営ツールです(一般的な企業では、欠陥の数は6000回程度といわれています)。
アメリカではいくつもの企業の業務改善や競争力の向上に役立てられています。 品質は定量化できるものを対象として、DPMOとして数値化されます。
DPMOはDefectsPerMillionOpportunityの略で、100万回の機会のうちの欠陥数(欠陥製品の数ではない)を意味しています。 また、改善によって競争力の向上やコスト削減などの経営目標に貢献するものだけを対象とします。

シックスシグマのモデルは、管理(Control)-測定(Measure-ment)-分析(Analyze)-改善(Improve)-管理という循環するプロセスで展開されます。 測定-分析-改善へのプロセスは、一般的な品質マネジメントでも十分に使える考え方だといえます。
3その他の品日本の製造業が世界に誇る品質管理のノウハウには、QCサークルと呼ばれる小規模なグループによる品質管理活動を、全工場規模、そして全社規模で実施するTQC(TotalQualityControl)というものがあります。 特に、つねに問題点を見逃さずに継続的なプロセスの改善をする手法は「カイゼン」という英語にもなって、海外の産業界でも高い評価を得ました。
ISO9001やシックスシグマのような標準的な技法でなくても、組織によってはすでに独自の品質マネジメントシステムを確立していることがあります。 その場合は、十分に検討したうえで既存システムが有効なものであれば、そちらを利用する方がよいでしょう。
独自にマネジメントプロセスを設計しなくても、ある程度効果のあるフレームワークがあればそれを再利用する方が効率的です。 起こり得る事故や危険を予測し、バックアップや差異化の考え方であらかじめ手を打っておく。
1リスクマネジメントの重要性リスク(risk)という言葉は、一般に「危険」と訳されます。 ところが同じ「危険」という単語でデンジャー(danger)というものもあります。
なぜプロジェクトでは、デンジャーでなくリスクなのでしょうか。 また、デンジャーに対応する動詞は「避ける」ですが、なぜリスクは「負う」という動詞で受けられるのでしょうか。
英和辞典を引いてみると、リスクにはもう1つの意味があります。 それは「冒険」という名詞であったり、「何かに賭ける」「大胆にやる」という動詞であったりします。
つまりリスクというのは、「何か新しい事物を得る際にともなう危険」ということです。 日本的にいえば、「虎穴に入らずんば虎子を得ず」というのがリスクです。

プロジェクトを成功に導く(新しい価値を産み出す)ためには、このリスクをいかに最小限に減らすかがキーポイントになります。 虎の子を得ようとして、反対に自分が親虎に襲われて食べられてしまったら元も子もないのです。
視点を変えてみると、リスクとは不確定要素といえます。 どちらに転ぶかわからないこと、あるいは絶対にこちらに転ぶという保証のないもののことです。
そのため、まず第1にそのような不確定要素の中でも危険を含む要素を事前に洗い出して把握しておくこと、第2にそのような要素をどうコントロールしてリスクの洗い出しと評価計画や基礎データの洗い出しと評価、代案分の側に倒すか手を打つこと、第3にそれが無理なら、向こうに倒れてしまっても困らないだけの別の何かを準備しておくこと。 この3段階の準備が、リスクマネジメントの基本といえます。
また「不確定要素」というのは、悪いことだけでなくよいこともあります。 悪いことは最小限度に抑え、よいことは最大限に利用する、というのが大局的なリスクマネジメントの基本姿勢です。
いわゆる「危険」だけでなく、「うれしい誤算」というのもうまく活用するということです。 とはいえ一般的にいえば、動きが早く複雑な今日のビジネスシーンにおいては、ありとあらゆる業務で事故やトラブルが発生する可能性を抱えています。
リスクを予測し回避する技能は、プロジェクトマネージャーだけでなく、企業でマネジメントに携わる全ての人に必須のテーマといえるでしょう。 2自然界に学ぶリリスクのコントロールには2つの方法があります。
1つは、何かしらの施策を打つことでリスクをなくすことです。 しかし、あらゆるリスク要素を完壁にコントロールするのは至難の業ですから、現実的な方法としては、リスクを分散するという考え方があります。
たとえばリスクがそのまま生命を失うことにつながるという意味で、もっとも苛烈な世界である自然界を例にとって考えてみましょう。 生き残るための生き物たちの基本戦略は、「量」と「質」によって実現されます。

まず「量」の戦略ですが、たとえば魚類や両生類のように同じ種類の卵を大量に産んで、ある程度の犠牲があっても必ず何割かは生き残るようにするというものです。 これをITに置き換えてみれば、複数の同じ働きをするサーバや記憶装置を用意して、万が一故障があっても他の正常な装置が対応するというクラスタリングの考え方といえるでしょう。
またときには「突然変異」がおこり、より優れた形態や特長をもった個体が現れることもあります。 想定されない事態という意味ではこれも立派なリスクですが、これは前述の「よいリスク」といっていいでしょう。
次に「質」の戦略ですが、自然界では同じ生物の中でも必ず全体と違うことをするへそ曲がりの個体がいて、群れ全体が右に行くときに1匹だけ左に行ったりします(一説ではヒヨコなどで実験すると、違う動きをする個体が20匹中に1匹程度、つまり5%いるといわれています)。 通常であればこの個体は単なるはぐれ者ですが、たとえば小魚の群れがいて、右には大きな魚が口を開けて待っていたらどうなるでしょうか。
群れ全体が右に進んでいればこの群れは全滅しますが、このようなへそ曲がりがいるお陰でわずかながらでも生き残る可能性が生まれるというわけです。 これはITでいえば専用線、電話回線、PHS回線など複数の種類のアクセス経路を用意している通信システムなどが考えられます。
たとえ専用線がダウンしてもモデム経由で電話回線で通信したり、PHS回線でアクセスできるわけです。 つまりリスク回避の方法論としては、同じ要素に対して(1)複数用意しておくことと、(2)少しずつ異なる複数の手段を用意しておくことが挙げられます。
一言でいうと、バックアップと分散が基本だということです。 計画段階で作成したチャート、分析した作業内容など、既存のデ-夕から「最悪のシナリオ」を想像できるか、リスクの発生どこでリスクが発生するのかを知るには、計画フェーズで作成したWBS、PERT、ガントチャートなど、スケジュールと個々の件業が同時に把握できるものを利用します。


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